儚いから愛おしく、慈しむほど輝く

呼び捨てされる嬉しい響き Good Chance 期待しちゃうな

ひらいて本通販はじめました/愛ちゃんと美雪の関係について

ひらいて本の通販をboothで始めました。

sopranooverdrive.booth.pm

匿名配送設定にしているので送料とあわせて470円です。pixivのアカウントが必要で少々面倒ですが、もしよろしければご利用くださいませ!


追記で拍手のお返事です(愛ちゃんと美雪の関係性たらたら書いております……後から自分で読み返したくなる気がしたのでタイトルにも書きました)。


>>2022-11-27 18:17 先ほど、zineを購入させていただきました。
ZINEのご購入ありがとうございます!一週間以内に発送しますので、もうしばらくお待ちくださいませ!

わたし自身も愛ちゃんと美雪の関係性を百合にカテゴライズすることは出来ないと思っています。百合は同性愛の意味合いを含むので、二人の間にある結びつきをそれに当てはめることは出来ないのかな……と。やはり、彼女たちの関係性を語るには、たとえの存在が欠かせないと思うので、彼から二人を切り離し、百合、という言葉で言い表すのは適切でないとわたしは感じています。

一方で、二人の関係をソリダリティ、シスターフッドと言うことも、また難しいんじゃないか……と思います。どちらかと言うと、たとえと美雪の間にこそ、連帯があるのかな、と。美雪も言っているように、二人は「藁しか掴めない」ような「溺れる者」です。殺風景な街で、10代の少年少女が抱えるには重い苦しみと戦うため、互いの手を取りました。与える、与えられる、ではなく、支え合う横の繋がり。その関係を心の中で大切に持ちながら18歳までなんとか生きてきた姿は、まさに連帯と言えるのではないでしょうか。

愛ちゃんと美雪は、ソリダリティと言うにふさわしい横の繋がり、というよりは、縦の繋がりなんじゃないかと思っています。

「美雪の横顔、なにかに似てるってずっと思ってて、思い出せなくて、でもいま、思い出した。うちの玄関の飾り棚に置いてある、鼻を抱えた天使の像だ。いつも見てるのに、気づかなかった」
綿矢りさ『ひらいて』

原作で、愛ちゃんは美雪のことを「天使」と言います。その言葉通り、愛ちゃんにとって美雪は、救いを与えてくれる神の使いであったと、わたしは思うんです。映画版において、美雪の家で、愛ちゃんが美雪の身体を求めたシーンは「拾ってください」と縋っているように見えましたし、最後の手紙も許しを与えているような……そんな印象を受けたんです。だから、ここに、横の繋がりは見られないのかなあ、と。同じ綿矢りさ作品でも「生のみ生のままで」の二人は恋愛関係に発展しているし、二人自身の人生を二人の力で動かそうとしているので、百合という表現も当てはまり、かつ連帯も見られる、と捉えています。(まだ上巻途中までしか読んでいないので、ここから大どんでん返しがあったら解釈が変わるかもしれませんが……)。また、「手のひらの京」の三姉妹も、互いがそれぞれの人生を言祝ぎ、支え合い、応援しているという点で言えば連帯……シスターフッド的な関係なのかな、と思います。「ひらいて」も、愛ちゃんと美雪の間には、強い結びつきが生まれますが、そこに「与える」というようなイメージをわたしは読みとっているので、連帯ともまた違うかなと思っています。

ただ、この作品はキャッチコピーにもある通り「乱反射」。三者の抱える様々な思いがあらゆる方向に突き刺さり、その関係性を変えていきます。だから、たとえと美雪の間にあるソリダリティと言える関係性が、愛ちゃんにも何らかの力を与えていた可能性があるかもしれません。また、美雪は与えてばかりではなく、もらってもいる……三人の関係が変わったきっかけは、雨のラブホテルのシーンであり、この出来事があったから、桜のシーンも卒業式の手紙も成り立っていると思っているのですが、結局たとえと美雪が身体的な結びつきに至ることが出来たのは、愛ちゃんと美雪がそれより前に身体を重ねていたからなんですよね。こういうことを考えると、美雪を与える人とするのもなんとなく違う気もして……けれども、これも愛ちゃんが<与える>イメージがあるし……でも、互いに与えていたら縦の関係とも言えない気もして……うーん、難しいですね。ただ、やっぱりこの関係性にソリダリティという言葉をつけられないわたしがいます。

公開から一年以上経っているにもかかわらず、ひらいてについて誰かとじっくり話したい欲があるので、もし良ければTwitterなどからご連絡ください……!(突然のお誘いすみません……)