儚いから愛おしく、慈しむほど輝く

呼び捨てされる嬉しい響き Good Chance 期待しちゃうな

わたしは心の中でいつもこの人間を高い雲の上においてきたし、どうしても彼の運命を何か神秘のヴェールでつつまずにはいられなかった。だから当然、わたしはいままで秘密の小箱がもっと手の込んだ開き方をすることを望んでいたのである。
ドストエフスキー 訳・工藤精一郎『未成年・下』

見えないもの、見ないようにしてきたものがあるとは知っていたけれど、それを最も醜い形で提示されたら受け入れられない。たとえ、前々からその存在にぼんやりと気が付いていたとしても……アルカージィが見たのはそういうものではないけれど、そんなことを思った……というわけで、ようやく未成年の下巻に手を付けました。上巻読んでいたのが去年の少年たちの頃だから、約一年、間が空いています。アルカージィのヴェルシーロフに対する愛憎入り混じる気持ちは、若さゆえのもの……とは思いません。思いたくないの方が正しいのかな。自分自身を根底からひっくり返してくる存在、アイデンティティに揺さぶりをかけてくる他者。そういう人はきっと自分自身にとって無視できない存在のはずです。そして、自分自身が大きく動かされる出来事は心地よさもあるけれど、恐ろしさもある……だからこそ両価的な気持ちを抱くことは、年齢によることではない、と思うのです。わたし自身がくそがきなのでまだ分かりませんが。そして「アイデンティティ」という単語を使ったけれど、自分なんて本当にあるんだろうか……と思います。常に予測不可能な存在であれ、常に変わっていけ、とわたしは自分自身に対して願っています。だって、そっちの方が希望がある!何かに触れるたびに変わっていける存在でありたい、そう思います。

あとMOUNT ZINEさんにひらいて本を紹介していただいていました……


こちらまだ置いていただいています。何卒よろしくお願いいたします!