儚いから愛おしく、慈しむほど輝く

呼び捨てされる嬉しい響き Good Chance 期待しちゃうな

Let It Be Your Life 不器用で下手でも愛しい人生さ

しかし、完全に孤立した人はどうなるのでしょう。ブルターニュ人でもなく、コルシカ人でもなく、女性でもなく、同性愛者でもなく、狂人でもなく、アラブ人などでもない人は? 少数派にさえ属していない人は? 文学とは、そのような人の声なのです。文学は「楽園的な」逆転によって世界のあらゆる声を見事に集めて、それらを一種の歌の中に融合させます。その歌は、きわめて遠くへ、先の方へと聴きに行かなければ耳にすることはできません(まったく逆効果をもった音響装置のただなかにいるかのように)。いろいろな学派や、前衛、新聞、会話を越えていかなければなりません。
ロラン・バルト石川美子訳「対話(クロニック)」『ロラン・バルト著作集10 新たな生のほうへ 1978-1980』

どうしてわたしは他の人みたいに出来ないのだろう、と思うことが多々ある。他の人みたいに歩けないし、他の人みたいに話せないし、皆が頷いている言葉が全く分からないことさえある。他の人みたいになりたい気持ちが昔から強かったから、真似だけは上手くなった。でも、本当は、自分を大事にしたいと思っている。たとえ、どこにも馴染めなかったとしても、わたしはわたしで生きていたい。わたしがその人だけの言葉、「個」の部分に触れたいと強く願うのは、自分自身の「個」を大切にしてほしいと、なかったものにしてほしくないと願っているからなのだと思う。わたしは誰かに代弁されなくてはいけない存在、自分で語ることができない存在ではないし、奪い取っていい言葉なんてこの世のどこにも存在しない。